神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示
|
||
これにちなんで、紫式部と『源氏物語』に関する貴重資料や関連図書を展示します。
[展示資料] 版本(絵入りの木版本) 袋綴二十八冊 万治三年(1660)刊 山本春正著 『絵入源氏物語』は『源氏物語』の最初の絵入り版本。 歌人であり、蒔絵師でもあった山本春正(1610〜82)が編集した本で、 読みやすくするために、濁点・句読点・振り仮名を入れ、傍注も施し、挿絵を226図も掲載している。 絵の図様は先行の源氏絵を踏襲しながらも、独自に描かれたものが多い。 最初、慶安三年(1650)に縦型で刊行され、その十年後、この横本が刊行された。 制作年、制作者不明 豆本は掌に収まる程度の小さな本の総称で、携帯用や娯楽の書として作られた。 各冊五、六枚の紙からなる版本で、一〜二十七冊までの各冊に、『源氏物語』五十四帖のうち二巻ずつを収める。 各冊の初め(一丁表)に、上下に分けて、二巻それぞれを象徴する絵を描き、その上に、巻名と源氏香図が入っている。 二十八冊目には「大意」と「目録」を収める。 紙本著色、四巻の絵巻 鎌倉時代初期(1220〜40年頃)制作 紫式部が藤原道長の娘 彰子に仕えていた1008〜1010年の宮中の様子を記した『紫式部日記』の本文を適宜抜き出し、絵画化した鎌倉時代の絵巻。 当初は全十巻程度の大規模な絵巻であったと見られるが、現存するのは四巻のみである。 大和和紀著 1980〜1993年刊 『源氏物語』を漫画化したもの。単行本(講談社コミックスmimi)全13巻をはじめ、文庫版全7巻、完全版全10巻など、版を替えて何度も出版された。 当該本は全七巻の大型版(1993刊)。 冒頭の「桐壺巻」の桐壺帝と桐壺更衣の馴れ初めはオリジナルで描かれているが、 全体としては、おおむね『源氏物語』五十四帖の原作に忠実に描かれている。 平安時代の生活様式や装束なども詳細に調べて漫画化されている。
(日本語日本文化学科教授 田中まき)
|