神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「紫式部と『源氏物語』」 (2024年1月6日〜2024年2月29日)

2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」は、 『源氏物語』の作者紫式部の生涯を中心に、今から1000年前の平安時代中期の朝廷や貴族社会を描くドラマです。
これにちなんで、紫式部と『源氏物語』に関する貴重資料や関連図書を展示します。

[展示資料]

絵入えいり源氏物語げんじものがたり
版本(絵入りの木版本) 袋綴二十八冊 
万治三年(1660)刊 山本春正著

 『絵入源氏物語』は『源氏物語』の最初の絵入り版本。 歌人であり、蒔絵師でもあった山本春正しゅんしょう(1610〜82)が編集した本で、 読みやすくするために、濁点・句読点・振り仮名を入れ、傍注も施し、挿絵を226図も掲載している。 絵の図様は先行の源氏絵を踏襲しながらも、独自に描かれたものが多い。 最初、慶安三年(1650)に縦型で刊行され、その十年後、この横本が刊行された。

豆本まめほん源氏物語 版本(絵入りの木版本) 袋綴二十八冊
制作年、制作者不明

 豆本は掌に収まる程度の小さな本の総称で、携帯用や娯楽の書として作られた。
 各冊五、六枚の紙からなる版本で、一〜二十七冊までの各冊に、『源氏物語』五十四帖のうち二巻ずつを収める。 各冊の初め(一丁表)に、上下に分けて、二巻それぞれを象徴する絵を描き、その上に、巻名と源氏香図が入っている。 二十八冊目には「大意」と「目録」を収める。

紫式部むらさきしきぶ日記にっき絵詞 えことば(複製)
紙本著色、四巻の絵巻 
鎌倉時代初期(1220〜40年頃)制作

 紫式部が藤原道長の娘 彰子に仕えていた1008〜1010年の宮中の様子を記した『紫式部日記』の本文を適宜抜き出し、絵画化した鎌倉時代の絵巻。
 当初は全十巻程度の大規模な絵巻であったと見られるが、現存するのは四巻のみである。

あさきゆめみし
大和和紀著 1980〜1993年刊

 『源氏物語』を漫画化したもの。単行本(講談社コミックスmimi)全13巻をはじめ、文庫版全7巻、完全版全10巻など、版を替えて何度も出版された。 当該本は全七巻の大型版(1993刊)。
 冒頭の「きりつぼのまきの桐壺みかどと桐壺こうの馴れ初めはオリジナルで描かれているが、 全体としては、おおむね『源氏物語』五十四帖の原作に忠実に描かれている。 平安時代の生活様式や装束なども詳細に調べて漫画化されている。

(日本語日本文化学科教授 田中まき)