神戸松蔭女子学院大学図書館 オープンキャンパス展示

「ベリー公のいとも美しき聖母時祷書」
Manuscrit Nouv. acq. lat. 3093, Bibliothèque Nationale, Paris
 (パリ国立図書館蔵本 ファクシミリ版)
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1380〜1405年頃、フランスのベリー公ジャンが装飾を注文した時?書の内の一冊。
350葉の紙葉からなる大写本で、年間の主要ミサのテクストも含んでいた。本学の通称パリ写本はその前半の断片である。
前半には装飾写本で有名なランページ兄弟、後半の数ページはフランドルの著名画家ヤンファンエイク、あるいはエイクに近い作風の画家の作品が含まれている。

『ベリー公のいとも美しき聖母時祷書』の"いとも数奇な来歴"
1380-1405年頃   ベリー公の依頼により装飾開始
1413年以前  完成を待たずに、財宝管理係ロビネ・デタンプに譲渡される
        ロビネにより写本は二分、前半を手元に残し後半は売却される
15世紀後半  後半はホラント伯が所持、新たな暦の装飾をフランドルの画家が完成させる
それ以降    後半はさらに二分される。(現在の『トリノ祈祷書』『トリノ=ミラノ時祷書 』)
1720年   『トリノ祈祷書』がトリノ国立図書館に収蔵
1884年   前半をアドルフ・ロスチャイルドが購入
1904年   『トリノ祈祷書』が火事で焼失
1935年   『トリノ=ミラノ時祷書 』をトリノ市がミラノのトリヴィルツィオ公から入手
       現在はトリノ市立美術館が所蔵(Inv.No,47)
1920〜30年代 ロスチャイルド家にあった前半をナチスが没収
1945年   前半がドイツのベルテヒスガーデン駅に放置されていた荷物から発見される
1954年   ロスチャイルド家に返還、同年末フランス国立図書館へ寄贈される

【展示資料】
Die très belles heures de Notre-Dame des Herzogs von Berry  (ベリー公のいとも美しき聖母時祷書)

【参考文献】
中世パリの装飾写本 : 書物と読者 / 前川久美子著


(図書館)