神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示
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(2016年10月1日〜2016年10月31日) 異国の妖怪にまつわる文化 どこが違う?現代での扱いは?
厳密な定義を行うのは難しいが、一言で言えば妖怪は“異常な”現象もしくは事物・存在のことを指している。 しかし妖怪と聞くと、私たちがまず想像するのは「百鬼夜行」や水木しげるの「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪達ではないだろうか。 中世の「土蜘蛛草紙」や「酒呑童子絵巻」などに描かれた妖怪はいずれも人々に恐怖と災厄をもたらす存在として登場し、ストーリーの最後に退治されるのが常だった。 それに対し、江戸時代に制作された絵巻の妖怪は人間を脅かしながらもどこか滑稽で親しみのある存在として描かれている。そこには妖怪をより純粋にフィクションとして楽しもうという新たな感性が働いていたのではないだろうか。 「付喪神絵巻」や「稲生物怪録絵巻」に代表される妖怪絵巻は人々を楽しませる「妖怪マンガ」の源流として位置づけることが出来るだろう。 ●西洋においての妖怪という概念 伝統的にその実在が信じられてきた怪物と、幽霊や精霊のような目に見えぬ自然力や霊力の視覚化という意義をもっている。 笑い声をあげて寒気をふりまき人を凍死させるイギリスのジャック・フロストJack Frost(霜の擬化)、安息を得られぬ鬼火とされるウィル・オ・ザ・ウィスプWill o' the Wisp(火の擬人化)、旅人を背に乗せ沼の深みにさそいこむスコットランドの馬の妖怪ケルピーKelpieなどが知られ、吸血鬼と狼男のような妖怪化した人間の例は世界的にも有名である。 近年日本でも周知されてきたハロウィンは元々は秋の収穫を祝い、悪い自然霊や魔女などの“妖怪”を追い出す古いケルトの祭りだった。移民と共にアメリカに移ってからは、おもに子供の祭りとしてにぎやかに騒ぎ、御馳走を食べる収穫の祝いの行事と変化している。時代と共に「妖怪」と人のあり方は自在に変化を遂げているのかもしれない。 【展示資料】 ●ガラスケース展示 ◎貸出用 ●星降る夜のお化けたち : 西洋魔物図鑑 / パトリック・ジェゼケル & ベネディクト・モラン著 ; ジャン=バティスト・モンジュ & エルレ・フェロニエール画 : 樋口仁枝 & 諸岡保江訳 [請求記号:388.3/93]
●図説日本の妖怪 / 岩井宏實監修 ; 近藤雅樹編 (ふくろうの本)
[請求記号:080/35/76]
●図説妖怪画の系譜 / 兵庫県立歴史博物館編, 京都国際マンガミュージアム編
(ふくろうの本) [請求記号:080/35/235]
●水木しげるの妖怪地図 : 47都道府県ご当地妖怪を訪ねる [請求記号:388.1/99]
●妖怪図譜 : 江戸の化物大集合 / 安村敏信 [ほか] 執筆 (別冊太陽 ; . 日本のこころ ; 219)
[請求記号:721/281]
●妖怪絵巻 : 日本の異界をのぞく / 小松和彦監修
(別冊太陽 ; . 日本のこころ ; 170)
[請求記号:721/245] ◎妖怪画談 / 水木しげる著 (岩波新書 ; 新赤版 238, 288) [請求記号:388.1/41] ◎陰陽師 / 岡野玲子著 ; 夢枕獏原作 [請求記号: 148/47] ◎モノと図像から探る怪異・妖怪の世界 / 天理大学考古学・民俗学研究室編 (天理大学考古学・民俗学シリーズ ; 1) [請求記号:388/118] ◎日本の妖怪百科 : ビジュアル版 / 岩井宏実監修[請求記号:388.1/111] ◎どろろ / 手塚治虫著 (手塚治虫漫画全集 ; 147-150) [請求記号:726/30/147〜150]
(図書館+図書館サポーター A.H.さん)
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