神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「うさこちゃん 誕生60年」
 (2015年6月4日〜2015年6月30日)

うさこちゃん誕生の物語「ちいさなうさこちゃん」の第1版は 1955年に出版されました。
ことしは誕生60年の節目の年です。
長年愛されてきたうさこちゃんの魅力をさまざまな観点からご紹介します。



●英語学科
ブルーナのゆかりの地
ブルーナの絵本のほとんどは彼の暮らしの中から生まれている。人生の節目、その時の出来事を絵本には優しく表現されている。例えば長男が幼いときは「うさこちゃんとうみ」、「こいぬのくんくん」は長女のマドロンのときに、初孫が生まれたときは「うさこちゃんのてんと」など家族とのふれあいの中から生まれた作品がほとんどである。そんなブルーナの生まれ育った町オランダにあるユトレヒトはブルーナの次男マルク(彫刻家)の作品やミッフィーの信号などユニークな町並みである。

●日本語日本文化学科
ウサコズ Std.DB FONT
ブルーナの絵本は1964年に初めて日本で刊行されました。しかしその当時の絵本で使用されていた書体(フォント)は子ども向けではありませんでした。そこで1997年子どもが初めて文字に触れる絵本をテーマにうさこちゃん(ミッフィー)のためのフォントが出来上がりました。このフォントは「あ」から「ん」まで手作りで作成されました。

●総合文芸学科
1997年に手づくりで子どもたち向けに製作された「うさこフォント」このフォントは絵と文字が両方バランスを取り、構成されています。世紀末文化において活躍した「ウィリアム・モリス」(1834-1860)もまた、オーストラリアを中心にブックデザインという分野において初めて書物に文字をデザイン化し挿絵にした芸術家です。彼の「理想の書物」という本の中には、「文字と余白がつりあいをとっていなければならない」と表しています。

●心理学科
ブルーナ絵本の心理学
世界中の子どもたちに馴染みのあるうさこ(ミッフィー)を描いたディック・ブルーナの絵本には子どもたちの心をつかむ魅力がつまっています。この本は心理学の分野から子どもたちが読みやすい本のサイズや1冊を読み終える、適した時間、子どもの好奇心を惹きつける画法が紹介されています。

●子ども発達学科
シンプルなデザインにおける効果とは

ミッフィー(うさこ)の特徴であるシンプルなストーリーは子どもたちの想像力を掻き立てる構成になっています。
シンプルな要素として、絵本には無駄を省き、絵と文で表現されています。また絵の背景にはそれぞれの場面にあった色、6色で使い分けされているところがブルーナの色へのこだわりが表れています。

●FHD学科
うさこ(ミッフィー)をクリエーターに評価してもらうといつもおなじみのオレンジのワンピースとは一変!個性溢れるうさこが……!シンプルであるからこそ大きく印象が変わるうさこは日本はもちろん世界中のクリエーターに大人気です。

どうしてミッフィーの口は バッテンなの?
作者のディック・ブルーナ氏は、「ディック・ブルーナ ぼくのこと、ミッフィーのこと」の中で、このようにこたえています。「ぼくの記憶の中のうさぎはフワフワとした真っ白な毛をして、くるくるっとした丸い目、口はバッテン」  両親やおばさんなど大人は三本線になっています。これは「年齢あらわす、いわゆる『シワ』なんです。」

【参考文献】
「もっと知りたいウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ / 藤田治彦著 (アート・ビギナーズ・コレクション)」 請求記号:702.8/195

「ディック・ブルーナ : ぼくのこと、ミッフィーのこと / ディック・ブルーナ [著] ; 講談社編」  請求記号:726.5/31

「ディック・ブルーナのすべて」 請求記号:726.5/33

「ディック・ブルーナ : ミッフィーの魅力、再発見 : 絵本が100倍楽しくなる、創作秘話に迫る : 祝・ミッフィー誕生60周年 (別冊太陽)」 請求記号:726.5/78

「"特集 ディック・ブルーナの謎",美術手帖 No.935」 

(図書館+総合文芸学科3回生 K.R.さん)