神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「第14回 執筆者は語る」  (2014年8月1日〜2014年10月31日)

本学専任の先生方より図書館へご寄贈いただきました図書を展示いたします。
(2014年6月までのご寄贈分です。)
「執筆者は語る」と題して、ご自分が執筆された図書を紹介してくださいました。
興味を持った図書を読んで、先生に感想を述べてみたり疑問点など質問してみてはいかがですか?
なお展示している本は展示終了後に貸出できます。 (展示中は閲覧のみです。)




池田 清 先生

「カタストロフィーの経済思想 : 震災・原発・フクシマ / 後藤宣代 [ほか] 著」          

昭和堂 2014年3月

 現代は災害の時代である。東日本大震災の福島原発事故(2011年)はカタストロフィー(破局)を想起させる大災害である。この破局から復興するには、憲法を復興に生かす政治や生活者の力量が問われている。





加藤 巡一 先生

「生徒指導・進路指導 / 林尚示編著(新・教職課程シリーズ) 」

一藝社 2014年2月

 一藝社の教職課程シリーズ「生徒指導・進路指導」の「学校運営と生徒指導」という章を担当することになった。私は20年近く兵庫県立の高等学校で教諭として具体的に生徒と関わり続けた。その経験を生かしながら、10年近く兵庫県教育委員会事務局で教育行政の仕事に携わった。この間は兵庫県下の生徒指導の実態を具にみることができ、指導主事として助言することも多かった。その後の10年間は県立高校の教頭や校長を務めて、管理職として学校での生徒指導のあり方を深く考えることができた。従って、思いつく内容は多岐に渡り、内容を絞るのに時間がかかった。結局、学校の経営の大きな部分を占める生徒指導について何が最も大切なのかという視点で書くことに決めた。共著であるが、生徒指導という領域ではバランスの取れた教科書であるので学生にも推薦したい本の一つである。



竹田 美知 先生

「家族生活の支援 : 理論と実践 / 日本家政学会家政教育部門編」 

建帛社 2014年4月

 「生活学概論」の教科書として執筆しました。これまでの教科書と異なり、基本的な事項の理解とともに、ワークショップをして身近な生活に応用できるように作成されています。わたしは「家族について理解する」の項、ワークショップを担当しました。 すでに富士市の市民講座や本学の公開講座でワークショップを行い、何度も書き直した結果この教科書の内容となりました。課外学習にも使ってみてください。




橘 ゆかり 先生

フローチャートで学ぶ栄養教育論実習 / 橘ゆかり, 森美奈子編著 ; 石崎由美子 [ほか] 共著

建帛社 2014年4月

 管理栄養士養成課程の「栄養教育論」は、これまでに学んだ科目をまとめると同時に、管理栄養士の実務的な側面を担う科目である。生活習慣病の増加や食環境の変化など、日本の食に関する課題は複雑で多様化している。その中で管理栄養士に期待される役割も、大きく変化しており、日本栄養改善学会が2009年に「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム」を提案し、管理栄養士に求められている知識やスキルなどを体系化した。現在、「栄養教育論」の教科書には、このコアカリキュラムに沿った内容が多く出版されているが、実習書としては非常に少ない。本書は、コアカリキュラムで“実習での学習が必要”とされる内容のみに焦点を絞って編集した。1回の実習では1つのテーマを取り上げているが、本書全体でPDCAサイクルに基づいた栄養教育を模擬体験できるようになっている。「管理栄養士は何をすべきか」ということを考えながら、本書を利用してほしい。



土肥 伊都子 先生

Gender personality in Japanese society : the determinants of femininity/masculinity, mental health, female-male relationships, and cultural factors / Itsuko Dohi

Union Press 2014年

 この本は、私の2000年以降のジェンダー研究をまとめた社会心理学の専門書です。調査・実験・インタビューによる研究を、学術雑誌や大学紀要、著書の章などで発表してきましたが、今回、書き下ろしを加えて「日本社会におけるジェンダー・パーソナリティ」として集大成しました。
日本はジェンダー後進国といわれてきましたが、それはなぜでしょう。ジェンダーは、個人のパーソナリティや人間関係、心理的健康にどのような影響が及ぼしているのでしょう。そしてジェンダーとうまく付き合うためにはどうすればよいのでしょう。この本はこれらの問いへの私からの回答です。英語で執筆したのは、輸入がほとんどである日本のジェンダー研究を輸出し、国を越えて多くの研究者とつながりたいと考えたからです。みなさんも、英語の勉強を兼ねて、各章のConclusion(結論)の部分を中心に読んでみて下さい。





中村 惠信 先生

情報資源組織法演習問題集 / 志保田務, 高鷲忠美編著

第一法規 2013年3月
 
 この本は司書養成新課程の「大学において履修すべき図書館に関する科目」内の科目「情報資源組織演習A・B」(各2単位)に対応した問題集である。内容は、書誌コントロール、目録(書誌レコード等)、分類(主題分析等)の問題を作成している。主題分析には件名検索と分類検索を含み、また分類関係は、分類目録と書架分類(配架)の双方にわたっている。目録演習に関しては、問題に対応する図書を選びタイトルページの転写を行い、問題様式に編集を行った。問題は、基礎から応用へと段階的になっており、『日本十進分類法』、『日本目録規則』、『基本件名表目標』、『日本著者記号表』等のツールに対応している。司書養成課程の受講生は一度、力試しと思ってチャレンジしてみてはいかがですか。いい成績を期待しております。



情報資源組織論 : よりよい情報アクセスを支える技とシステム / 志保田務編著 (講座・図書館情報学 / 山本順一監修 ; 10)
ミネルヴァ書房 2014年4月
 
 この本は司書養成新課程の「大学において履修すべき図書館に関する科目」内の科目「情報資源組織論」(2単位)の標準的なテキストとして作成された。Web時代の情報資源をめぐる最新の状況を幅広く紹介しており、新カリキュラムに対応した、コンパクトでイラストも入り分かりやすいものになっている。新時代における情報に対するアクセスを行う方法を解説するとともに、従来の目録法、分類法の歴史、理論を継承し、コンピュータ目録の理解につなげている。編著者の志保田務先生は、目録法、分類法の第一人者であり、実績のある執筆者を揃えて、この本を完成させた。この本の、全体の最終校正および索引作成に関与し、図書を1冊にまとめる苦労を味わった。司書養成課程の受講生は是非、一読をしていただき知識とスキルをパワーアップして欲しい。





村上 知彦 先生

再び大阪がまんが大国に甦る日 / 大阪府立大学観光産業戦略研究所 [ほか] 編著 ; 松本正彦 [ほか] 著・講話 (新なにわ塾叢書 ; 6)  

ブレーンセンター 2014年4月

 2013年に「新なにわ塾・まんが大国大阪を語ろう」と題して開かれた、連続講座の記録である。大阪の中小出版社による戦後まんが出版の再出発と、手塚治虫の登場、貸本劇画の台頭など、まんが文化が豊かに花開いた「まんが大国大阪」の土壌が、中野晴行、竹内オサムらの研究者や、花村えい子、ビッグ錠ら当事者のまんが家自身によって語られる。また大阪芸大、京都精華大、神戸芸術工科大など関西に集中する、まんが創作系の学部・学科を出て活躍する若手まんが家の座談会は、それら「まんが大国大阪」の伝統が、現在にどう受け継がれているかを示す。筆者は「補講・『大阪のまんが』とぼくらの時代」と題して、60年代末の『COM』『ガロ』などに触発された関西の新人たちや、アマチュア同人誌活動の流れ、そこから生まれたいしいひさいちの単行本「バイトくん」や雑誌『漫金超』など、80年代に至る状況を、書き下ろしで寄稿した。


村上三郎 : through the '70s = Murakami Saburo / 村上三郎著  
アートコートギャラリー 2013年1月

 元本学教授で、在職中の1996年に事故のため急逝した画家・村上三郎の、大阪、神戸の画廊などで1970年代に集中的に開かれた個展の記録、資料などを中心に編まれた作品集。現在、世界的に再評価が高まる関西の前衛美術集団「具体美術協会」の初期からの中心メンバーだった村上は、1972年の「具体」解散の前後より、精力的にグループを離れた個展活動を展開した。だが、その場限りのパフォーマンスやコンセプチュアルな行為、時には無言で会場に座り続ける自分自身を「作品」とするようなその活動は、作品そのものとしては残っておらず、その実態を把握することはきわめて難しい。本書では、残された作家の制作ノートや、現場で記録された写真、メモなどから、幻の「70年代個展」の姿を可能な限り再現しようと試みる。また、「紙破り」など主要パフォーマンスと、現存する全作品の写真つきリスト、年譜、解説等を資料として付す。




山内 啓子 先生

比較文化のまなざし / 丸橋良雄, 坂元敦子, 内田朋子共編著  

英光社 2014年5月

 『比較文化のまなざし』はエッセイ部分と学術論文の二部から成り、第一部のエッセイはバレリーナのトゥシューズの先に凝縮される身体芸術の話が歴史的背景を交えて述べられています。学術論文ではいろいろな分野の研究者が「比較文化」を要にいろいろなアプローチで研究した成果を披露し、広義の比較文化論の集積になっています。そのような本の中で私は「〈菓子〉をめぐる考察I −英国の児童文学における表現比較から−」を担当しています。
皆さんはお菓子がお好きですか? 特に若い女性はお菓子に目がなく、菓子の話題になると生き生きする人が多いですよね。子どもたちはどうでしょうか?物語の中のお菓子とはどのようなものがあるのでしょうか?言語表現の中から菓子の特性を再考しています。さてではまず、「お菓子」を英語ではなんと言うのでしょうか?Sweets? Goodies? ハロウィンで言うTrick or TreatのTreat? 答えは本稿でどうぞ。
 


『KELT:Kobe English Language Teaching 第29号  ;大学における小学校外国語活動 指導者養成の試み -国際学校との連携を中心に-』(神戸英語教育学会紀要第29号)  
神戸英語教育学会

 2011年より義務化された小学校の外国語は教科ではなく、「領域」の扱いであり、多くの不安定要素の上に成り立っています。本小論ではその外国語活動の現状を概観したのちに大学における小学校外国語指導社養成のための取り組みを提案しています。その提案は、誰が何をどのように小学生に教えるのか、というのは大きな課題ですが、「活動の形態を保持しながらその動きを大切にするのが最善」の前提のもと、小学生にも、また将来指導者を目指す大学生にも希望の持てる、現実的な取り組みを模索してきた結果から生まれたものです。 松蔭ではいち早く「児童英語指導者養成」に取り組んできましたが、そこでの知見・経験は大学と小学校との連携、また大学と国際学校との連携、といういわば学びの循環を行う取り組みに発展してきました。このような取り組みの教育的意義は超越校種の越境的交流や国際理解促進、そして疑似留学体験など、計り知れないほど深いと言えましょう。