神戸松蔭女子学院大学図書館 オープンキャンパス展示

「ジョルジュ・バルビエ」
 (2014年度オープンキャンパス期間)

 ジョルジュ・バルビエ(1882-1932)は20世紀初頭のパリで活躍した、アール・デコ期最高のイラストレーターです。ギリシア古典のスタイルをもとにアール・デコ様式で描いた本の挿絵や、ロシア・バレエための衣装デザインなど、挿絵、ファッション、舞台芸術の世界で魅惑的な作品を多く残しました。
 今回展示した2点の作品には、彼の作品の中でも傑作と高く評価されている60枚のファッション・プレートが収録されています。2つ合わせると1916年から1924年までのファッション・クロニクルとして見ることができるだけでなく、中にはジャポニズムの影響が色濃く見受けられる作品も含まれ、洋装文化史の視点からも興味深い資料と言えます。
 バルビエが活躍した1910年から1930年頃は、日本では大正から昭和初期、人々の洋装化が進んだ時代と重なります。ヴォーグやフェミナなどの外国雑誌、ファッション・プレート、写真集などから、日本人は西洋のファッションの流行を知るようになりました。バルビエの描いたファッション・プレートには、女性の衣服のみならず、スーツやシャツなど洗練された男性用衣服も描かれています。ファッションの中心地パリのモダンな意匠と当時の日本のそれとを比べて、デザインの移入と変換を辿ることもできます。

※ポショワール
バルビエの色彩
“ポショワールというカラー印刷にこだわったことも、バルビエの表現の特徴を示している。ポショワールはステンシルともいい、型紙を使って着色する方法である。すでに、写真製版による最新のカラ―印刷がはじまっており、ポショワールは古くからあった方法なのだが、あえて20世紀の初めに使われ、一時人気を博した。写真製版のぼんやりしたハーフトーンより、色がくっきり対比されるポショワールが好まれたのである。しかし、ポショワールの人気は1920年代前半まで、次第に写真にとって代わられてしまう。バルビエはポショワールそして木版によるカラー表現にこだわり続けた。古めかしさを装ったモダニズムという彼の美学にこだわり続けたのであった。”
引用:海野弘.『ジョルジュ・バルビエ : 優美と幻想のイラストレーター』東京 : パイインターナショナル , 2011 p.11

Falbalas et fanfreluche : almanach des modes présentes passées et futures
「裾飾りと縁飾り:流行の暦」
全5巻 ジョルジュ・バルビエ画 1922-26年刊
本学図書館 蔵 ※貴重書

「モードの現在・過去・未来のアルマナック(年鑑)」。毎月1枚のカレンダー式は、日本では歳時記(月次絵・つきなみえ)ともいうスタイルをまねたもの。小型版『La Guirlande de Mois』の好評につき、続いて大きなサイズのポショワール画で出版された。

Le Bonheur du jour ou les grâces à la mode
「流行の美」
ジョルジュ・バルビエ画 1924年刊
本学図書館 蔵 ※貴重書
バルビエ自選によるファッション画集。1920年から1924年にかけて製作されたと思われる。浮世絵を思わせる日本的なモチーフも含まれている。

ジョルジュ・バルビエ : 優美と幻想のイラストレーター / 海野弘解説・監修
パイインターナショナル 2011年刊
請求記号:726.5/47

ジョルジュ・バルビエ画集 : 永遠のエレガンスを求めて / ジョルジュ・バルビエ [画] ; 鹿島茂著
六耀社 2008年刊
請求記号:726.5/54

(図書館)