神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

2013
 (2013年12月2日〜12月26日)





キリスト教センターの坪井智先生にクリスマスに関連した図書を紹介していただきました。

 クリスマスの関係する本の紹介を、ということで本棚を探ってみました。ところがクリスマスの特化する本が以外に少ない。考えてみるとクリスマスに関する教材を作るときには、学校の図書館に大変お世話になっていました。大体のクリスマス関係本は図書館に常備されているからです。
 なので、図書館にあまりない本を中心にご紹介したいと思います。
まず北欧のクリスマス全般を紹介したもの、写真図版がふんだんで色々な飾りや料理のレシピも掲載されている本をご紹介しましょう。


「ベーシッククリスマス 北欧育ちの、飾り・料理・言い伝え」文化出版局
 堅苦しい本ではなく、写真のページが半分、もう半分は写真の説明を含んだクリスマスの解説や飾りの作り方、料理レシピです。学術書ではないので、クリスマスの解説については、少々著者の生まれ育った北欧の風習に偏っていますが、クリスマス全般について知るには適当な本だと思います。特にクリスマスの飾りを自作してみたい人には、細かい作成指示が載せられており、作成のヒントが与えられると思います。

 次の二冊は、クリスマスだけでなく、キリスト教の暦や祭りについて記したものです。クリスマスを含めてキリスト教のお祭りのつながりや祝い方などを知ることができます。
「ヨーロッパの祝祭日の謎を解く」A・F・アヴェニ 創元社
「ヨーロッパの祝祭典 中世の宴とグルメたち」M・P・コズマン 原書房
 特に、ヨーロッパの祝祭典は、キリスト教が発展し諸宗教や諸習慣を取り込み、融合していった課程で作られていった祭りの祝いに特化して解説しています。最後に食事のレシピが載せられているとこもおもしろいです。

 クリスマスは歌の祭り、といってよいほど、沢山のクリスマスキャロルやクリスマスソングが作られ歌われています。私は毎年自分へのプレゼントとして、クリスマスにまつわる曲のCDを買い求めていますが、買ったCDを含め、多くのクリスマスの歌の解説をまとめてくれているのが次の本です。
「クリスマス音楽ガイド クリスマス・シーズンに歌いたい音楽50選」川端純四郎・関谷直人 編著 キリスト新聞社
 解説されている曲は、聖歌・賛美歌を中心に、クリスマスに関わる有名なクラシックまで。解説はコンパクト。かつ曲の順番が教会の暦に従い並べられていますので、教会の時間軸にしたがってクリスマスの意味を学ぶことができます。おいしいところは、解説された曲(フル演奏ではないが)のCDが付いているところです。目だけでなく耳からも楽しめる様になっています。

 最後に、少し異色な短編集を二つ紹介しましょう

「ベツレヘムの星」アガサ・クリスティー 早川書房

 名探偵ポワロシリーズなどで有名な推理小説作家アガサクリスティが記した心温まる短編集で、ミステリー物ではありません。クリスマスまつわる出来事を題材に短い物語や短い詩11編で構成されています。物語の最後には、ほろりとしたオチが付いているところなど、推理小説作家らしい一面をのぞかせています。現在は文庫本もあり、読みやすいお勧めの一冊です。

「クリスマス12のミステリー」I・アシモフ 新潮文庫

 最後に、SF界の巨匠アイザック・アシモフが編著した短編集です。内容はSFではなく、むしろクリスマスの出来事やクリスマスイベントに絡んで起こる様々な事件を爽快に解決していくミステリー仕立ての物ばかりです。ミステリーとはいえ、色々なクリスマスの習わしが物語の根底に潜んでおり、謎解きすることでクリスマスやキリスト教の文化や触れることができます。アシモフ自身が記したクリスマスの十三日などは、謎解きからキリスト教の豆知識を得ることができます。もちろん豆知識がなくても十分に楽しめる一冊です。

(解説 キリスト教センター 坪井智先生)