神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「第12回 執筆者は語る」  (2013年2月1日〜2013年4月30日)

本学専任の先生方より図書館へご寄贈いただきました図書を展示いたします。
(2012年12月までのご寄贈分です。)
「執筆者は語る」と題して、ご自分が執筆された図書を紹介して下さいました。
 興味を持った図書を読んで、先生に感想を述べてみたり疑問点など質問してみてはいかがですか?
なお展示している本は展示終了後に貸出できます。(展示中は 閲覧のみです。)




郡司 隆男 先生

科学者の本棚 : 「鉄腕アトム」から「ユークリッド原論」まで / 「科学」編集部編 

岩波書店 2011年9月

 本書は、雑誌『科学』の連載「心にのこる一冊」(2005年6月〜2010年12月掲載)をまとめて単行本としたものである。著者はその冒頭に掲載された、「お茶の水博士になりたかった:手塚治虫著『鉄腕アトム』」という単文を執筆した。子どものころに読んだ漫画の中でも、特定の人物(お茶の水博士)に関心をもち、「科学者」になりたいと思ったこと、その後の自分の物理学、情報科学、理論言語学という変遷を語りながら、結局、自分の足跡はアトムの周りをぐるぐると回ってきたにすぎないような気がする、と振り返っている。




柏本 吉章 先生

事例研究 / 澤田治美編 (ひつじ意味論講座 ; 第4巻 . モダリティ ; 2)

ひつじ書房 2012年6月

 ことばのモダリティ(人の考えや態度をことばに反映すること)に関わるさまざまな事例研究を集めたこの本のなかで、私が担当したのは「英語法助動詞のモダリティ」についての研究です。日常の対人的コミュニケーション場面の中で、話し手が聞き手やその他の人に対してどのような態度をとり、それをどのようにことばに反映させるかを観察し、その方策としてmayやcan、must、shouldなどの法助動詞が重要な働きをしていることを考察しています。



増永 理彦 先生

UR団地の公的な再生と活用 : 高齢者と子育て居住支援をミッションに / 増永理彦著 

クリエイツかもがわ 2012年11月

 戦後、厖大な公団賃貸住宅(現UR賃貸住宅)団地が出現した。その団地も時とともに劣化が進み、再生を考えなければならない時代がやってきた。また同時に、居住者も高齢・低所得化し、福祉対応や子育て支援といったソフト対応も考えなければならない事態となっている。
ところが一方では、UR賃貸住宅を供給・管理・再生してきた都市再生機構が民営化の危機にある。この方向では、国民的な資産である公UR賃貸住宅の再生は危うい。公的機関として存続させ、高齢者と子育て居住の支援を重要なミッションとしつつ、居住者、都市再生機構、自治体の三者が協働で再生を考えていかなければならない。


日本の都市づくり : 60プロジェクトによむ / 日本都市計画学会編 
朝倉書店 2011年11月

 1951年の日本都市計画学会設立から、60年を越えました。
この60年は高度経済成長期において、大都市に人口が集中し、多くの都市問題を生じさせ、解決に迫られた時期でもありました。また、その間都市計画学会は数々の成果を挙げたのですが、一方では全国で多種多様な都市計画事業が取り組まれました。本書はその中で、評価の高い60のプロジェクトを取り上げて概要を述べたものです。私も、そのうちの一つである「香里団地」(枚方市)を担当し紹介しました。




山内 啓子 先生

越境する文化 / 丸橋良雄編

英光社 2012年5月

 『越境する文化』はエッセイ部分と学術論文の二部からなっています。第一部には、13世紀から続く京都の宮司さん(なんと第37代だそうです!)や会議通訳者さんの興味深いエッセイや歌舞伎の話なども含まれています。学術論文もいろいろな分野の研究者が「越境する文化」を要にいろいろなアプローチで研究した成果を披露し、広義の比較文化論の集積になっています。
 そのような本の中で私は「米食の異文化III -越境する食-」を担当しています。これは「米食の異文化I -言語表現を中心に-」、「米食の異文化II - 食味と食生活の観点から」の続編となるものです。Iでみた言語表現からの特性やIIで捉えた料理や食生活面、そして歴史的・地理的な概観を経て、今回は調理法と料理から越境する食を考察しています。
 食べ物は、素材・調理法・器具、そのいずれもが文化や国地域の越境を繰り返してきたものです。いわばボーダーレスでありながら、一方でその食し方は極めて地域・文化の特性が強く、また味覚は保守的なものでもあります。今日の食糧問題と、相反する肥満問題の解決への布石として味覚の啓蒙と食法の啓発を合わせた米食の再認識がある、と提案しています。





古川 典代 先生

ビジネス中国語単語ベーシック1000 : BCT「ビジネス中国語検定試験」大綱準拠 / 張進凱, 田勝泉編 ; 古川典代監訳  

三省堂 2012年4月

ビジネス中国語単語パーフェクト1400 : BCT「ビジネス中国語検定試験」大綱準拠 / 張進凱, 田勝泉編 ; 古川裕監訳  
三省堂 2012年4月

 BCT「ビジネス中国語検定試験」大綱に準拠したビジネス中国語単語を、例文とともに解説しました。ベーシック編では監訳を担当、パ−フェクト編では翻訳を担当しています。中国人目線でのビジネス中国語が学習できるうえ、音源をダウンロードすれば文字と音声の両面からのアプローチが可能になります。ベーシック編は就活にも活用できますし、パーフェクト編はビジネスの現場で使える高度な中国語がものにできると思います。ぜひ手に取ってみてください。





池田 清 先生

東日本大震災と私たち : 伝える、記憶する / 池田清ゼミナール[編]  

神戸松蔭女子学院大学人間科学部生活学科都市生活専攻 2012年3月

 東日本大震災は、日本のみならず世界を震撼させた未曾有の大災害であるとともに、日本の社会・文化、政治、経済のあり方と、私たちひとり一人の生き方を問うものでありました。本書は、私のゼミ生と被災地をたずね、被災した人々との交流を通して学んだことを記したものです。学生も書いているように、被災地以外の私たちは、「何もすることができない」小さな存在ですが、「伝え、記憶すること」ができる。このような思いで本書をつくりました。




溝畑 秀隆 先生

災害栄養 : ビタミン・ミネラルから食事と健康まで / 福澤健治編  

日本ビタミン学会 2011年11月

 震災直後、被災者は避難先を見つけることや救助活動,水および熱源の確保を優先し,また二次災害の恐怖もあり,食について考える余裕はない。また長期間の避難所生活(仮設住宅含む)は、食料供給が十分でないため栄養素の欠乏症など食事内容が偏り健康障害を引き起こすことがある。避難所における栄養・問題や医療機関における問題、震災後の問題および防災計画のあり方について執筆した。
 




勝村 弘也 先生

滅亡の予感と虚無をいかに生きるのか : 聖書に問う / 新免貢, 勝村弘也著 ; 関西神学塾編  

新教出版社 2012年3月

 3・11から始まる東北大震災、特に福島原発の事故による滅亡の予感にどのように我々が向き合うのか、この問題をテーマとして、2011年8月28日に関西神学塾で新免と勝村の二人の講師による特別講義が行われた。この講義に加筆・修正を加えた。勝村は、旧約の知恵文学が「応報」の問題をどのように捉えているかを論じた後、「愚行」について考察する。さらにエレミヤ書、哀歌、ヨブ記などが「破滅」についてどのように語っているかを論じた。