『京都の「まち」の社会学』 鰺坂学・小松秀雄 編 (世界思想社)
請求記号:361.4/202 配架場所:第1書庫2層
第4章「卓越した生活景としての京都の景観」がわたしの分担です。京都市域の二階建のまちに高層ビルが林立するといった景観破壊が、1980年代から激しくなりました。市行政は業者側に立ち,反対する住民運動には耳を貸さないという態度をとり続けてきました(いまでも変わっていませんが)。ところが、2004年に景観法が成立するのを機に、住民運動と京都ぐらいは景観を守れよという国の意向に挟まれて、市は2007年には新景観政策を発表しました。これは都心居住地の高さ規制を31mから15mにするという画期的なものです。
日本では例外的な伝統様式の町並みが守られたという評価ではなく、住民運動の土台にあったのは日常生活を充実するなかで気づかれてきた生活景が守られることになったとみるべきではないか、というのがわたしの論じていることです。他の大都市、神戸でも高層ビルは生活を破壊する悪しきものなのです。
タイトルが示すとおり社会学の本です。わたしの専門は都市計画学で、執筆者10人のうち9人は社会学の研究者です。わたしからいわせれば、社会学の方は都市計画学と研究対象が重なっています。ただ、都市計画学の方が現実に対して即物的にむかいあうので、ある意味で政治的なのです。
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