神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示


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 わたしたちが普段何気なく使っている「少女」とはなにか。性別を表わすと同時に、人間の成長のある特定の一時点を示す言葉のようである。そもそもいつからいつまでが少女なのか。
 小学館デジタル大辞泉を引いてみると、
1. ふつう7歳前後から18歳前後までの、成年に達しない女子をさすと定義。または、おとめ。
2. 律令制(大宝令8世紀ごろ)によれば、17才〜20才 (後に21才)の女子。
 渡部周子(わたなべ しゅうこ)さんは、その著書 『<少女>像の誕生』(新泉社)で、少女期を「出産可能でありながら結婚を猶予された期間」とした。明治時代になって学校制度が確立し、就学期間が長くなったために生まれた概念で、婚姻が早かった江戸時代以前にはなかったという。少女期は良妻賢母になるための人格形成期。家庭に犠牲的に尽くす「愛情」、家父長制維持のために性的無垢を求める「純潔」、受容的に男性に選んでもらう外見的美しさである「美」。この3つが教育のなかで重要だと繰り返し強調され規範になっていった。

★渡部周子(わたなべ しゅうこ)さん★
鳥取県米子市出身。本学卒業生で千葉大学 大学院に進み近代史を研究。文学博士。
現在同大学院人文社会科学研究科特別研究員。大学院で「少女」像の研究をし、博士論文 『日本近代期における規範としての「少女」像の形成』をもとに、2007年12月『<少女>像の誕生』(新泉社)を出版した。

展示資料

『<少女>像の誕生: 近代日本における「少女」規範の形成』/渡部周子著 請求記号:367/1051
(明治期日本において新たにカテゴライズされた「少女」という存在に言及する。)

『日本近代期における規範としての「少女」像の形成 / 渡部周子著』千葉大学大学院社会文化研究科 2004年度 請求記号:367/990

『女學生手帖:大正・昭和 乙女らいふ / 弥生美術館, 内田静枝編』 河出書房新社 2005.4 請求記号:367/1004
(大正〜昭和期の可憐で優美な乙女たちの世界! 「明日に向かって読もう」の推薦図書)

少女論の最初?「少女とは如何なる物ぞ。 / 九泉童子著」 『文庫』3巻1号 明治29年(1896)6月 p10-14掲載 少年園發兌 請求記号:Z91/342/3

「少女とは如何なる物ぞ。 / 土井秋風著」 『頴才新誌』 第1094号 明治31年(1898)10月22日p1-2掲載 第1095号 明治31年(1898)10月29日p1-2掲載 請求記号:Z37/8/1053:1101
(●『文庫』に掲載された記事の盗作)

『花物語 / 吉屋信子著』 洛陽堂 大正9(1920)年2月 青木稔弥先生個人蔵
(大正に書かれて以来、世代を越えて少女たちに支持され、感動を与え続けてきた少女小説の代表的名作)

『少女たちの昭和史 / 秋山正美』新潮社 1992.12 請求記号:367/468
(戦前の少女たち。彼女たちは何を夢見、どう学び、どんな風に暮らしていたのか。)

『まんがの逆襲 : 脳みそ直撃!怒涛の貸本怪奇少女マンガの世界 / 唐沢俊一監修 』
1993年11月 ベネッセコーポレーション 青木稔弥先生個人蔵
(貸本短編マンガの世界。少女の概念も時代とともに大変化!!)

(図書館)