神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「第8回 執筆者は語る」 (2008年10月1日〜2008年10月31日)

今月は、本学専任の先生方が図書館に寄贈くださった図書を展示しています。(2008年4月以降分)
「執筆者は語る」と題して、ご自分の著作を紹介して下さいました。
興味を持った図書を読んで、 著者の先生に感想を述べてみたり、 疑問をぶつけてみてはどうでしょうか?
なお展示している本は、 展示終了後の11月1日より貸出できます。 今すぐ予約しておきませんか?

福田 洋子 先生
『オフィス・プロをめざす秘書 のキャリア形成』 / 西澤眞紀子編著;福田洋子,前川昌子著 (中央経済社 , 2008.4)
請求記号:336.5/174-B
配架場所:第1書庫2層

 男女を問わず、秘書の仕事は多くの職業に通じるものがあります。
 小著は、秘書を目指す方、現在お仕事をされている方、に伝えたい事柄をまとめたものです。特に、新しい時代のオフィス・プロフェッショナルとしての自覚と実力を持った、しなやかでしたたかな職業人になって欲しいという思いをこめて、トップマネジメン秘書経験を持つ三名が書き上げました。
 前半を秘書という仕事を理解するための7章(基礎編)、後半を秘書の職務 をよりよく遂行するための6章(応用編)としました。秘書の役割・職務が体系的に学べます。また、必要な知識・望ましい資質に関しても具体的に述べましたので、学ぶことの意味づけから、将来のキャリアへの示唆が一貫して捉えられるものになっています。「秘書概論」あるいは秘書をモデルとした「キャリアデザイン論」のテキストとして、また、職業人の能力開発の糧として活用していただければ幸いです


松田 謙次郎 先生
国会会議録を使った 日本語研究』/ 松田謙次郎編 (ひつじ書房 , 2008.5)

請求記号:810.2/85
配架場所:第1書庫3層

 「はじめに」にも書いたのだが、国会会議録を使って日本語研究をするというアイデアは、深夜のインターネットサーフィンで国会会議録検索サイトを見つけた時に浮かんだものである。試しにら抜き言葉を検索すると、きちんとら抜きで発言したものが出てくる!これは資料として使えるという手応えを感じて、猛然と調べ始めた次第である。現代政治の第一級資料でありながら、国会会議録自体にはまとまった研究は少ない。そこで、まずは自分で徹底的に調べて論文を書き、院生にテーマとして与え、大学院ゼミのテーマにした。ゼミ生全員で学会発表をしたところ、偶然それを聞いた出版社の方から出版のお誘いを受けたのであった。お陰様でその後YoutubeでPV出演するわ、讀賣新聞の書評欄に取り上げられるわと予想外の展開をしたのだが、執筆時に一番御世話になったのは、いつも国会関連の論文を迅速に取り寄せて下さった、この図書館の職員の方々なのである。


山田 道夫 先生
『哲学の歴史 古代1 哲学誕生- 始まりとしてのギリシア』/ 内山勝利責任編集 (中央公論新社 , 2008.2)

請求記号:130/74/1
配架場所:第1書庫1層

 この本は日本の代表的な出版社の一つである中央公論が「創業120周年記念出版」として刊行した全12巻プラス別巻からなる叢書の第1巻、「哲学誕生−始まりとしてのギリシア」です。短いコラム等の執筆者も含めると、叢書全体では総勢二百名近い哲学研究者が参加したとのことです。これだけの規模の包括的で詳細な西洋哲学史の叙述は日本にはこれまでなかったので、今後日本で哲学を学ぼうとする人には格好の出発点となるでしょう。私が執筆を委嘱されたのはソクラテス以前の哲学からアリストテレスまでのギリシア古典期の哲学のうちのソクラテスの章(303―362ページ)です。全体の十分の一に満たない分量ですが、ソクラテスについての基本的なモノグラフとしてはまずまずの論述に仕上げられたのではないかと自負しています。私が訳した岩波文庫の『ソクラテス以前以後』と合わせて、ぜひソクラテスという人のことを知っていただきたいと思います。


古川 典代 先生
『中国語で歌おう!  決定版テレサ・テン編』/ 古川典代著 ; en-Ray歌 (アルク , 2008.5)

請求記号:820/64
配架場所:第1書庫3層

 『中国語で歌おう!』シリーズ第4弾は、第2弾に引き続き決定版としてアジアの歌姫テレサ・テンをとりあげて特集しました。
 今回の目玉は、これまで中国語の歌詞のなかった人気曲『別れの予感』に筆者が中国語の訳詞をつけたことです。これで、中華カラオケファンの十八番のレパートリーが増えること請け合いですね。
 また、巻末にはカラオケのシチュエーションで活用できる会話フレーズを日本語と中国語で吹き込んでありますので、中国人の友人たちとのコミュニケーションにも対処できます。この声は筆者がナレーションしていますのであわせてお楽しみくださいね。
 CDではテレサ・テン再来かと評判の歌手en-Rayが模範演唱してくれているので、聴くだけでも魅了されます。またカラオケももちろん入っていますので、ひそかに練習して宴会芸にぜひ一曲中国語で歌ってみてください。


春木 孝子 先生
『アイルランド語文法 : コシュ・アーリゲ方言』/ 京都アイルランド語研究会編訳;梨本邦直責任編集 (研究社 , 2008.1)

請求記号:893/11
配架場所:第1書庫3層

 最近、アイルランドの音楽、文学、歴史、経済などに興味を持つ人が増えましたが、アイルランドへの理解をさらに深め、研究を進めるためには、アイルランド語が不可欠となります。しかし、アイルランド語を学びたい人々のための日本語で書かれた良い学習書がない状態でした。そのような中で2000年に、ミホール・オシール著のLearning Irishでアイルランド語を勉強しようという研究会が始まりました。この本は1980年に出版されて以来、本格的な独習書兼文法書として定評があったのですが、言語学者で詩人でもある著者の見識の高さが随所に現れ、学術的かつ高度な説明が大きな壁となって、途中で挫折したという経験を持つ人が多いということで有名な本でもありました。
 研究会発足1年後には、古アイルランド語の研究で博士号を取得した強力な会員が加わり、研究会での議論はさらに深まりました。7年間で全体を3回も読み込んで、翻訳するだけでなく注解や補足説明を加え編訳としたのが本書です。この本のお陰でこれからのアイルランド語学習者にとって不必要な苦労や混乱がなくなるのではないかと自負しています。


宮本 憲 先生
『God's mission in Asia : a comparative and contextual study of this-worldly holiness and the theology of Missio Dei in M.M. Thomas and C.S. Song』/ Ken Christoph Miyamoto (Pickwick Publications , c2007)
請求記号:197/47
 配架場所:第2書庫2層


『Mission in the twenty-first century : exploring the five marks of global mission 』/ Andrew F. Walls and Cathy Ross, editors (Orbis Books , 2008)
請求記号:197/46 
配架場所:第2書庫2層
 近年、キリスト教人口分布の重心が欧米から非欧米圏にシフトするという歴史的変動が進んでいる。それに伴い、アジア、アフリカ、中南米の著者による神学・宣教学関係の書籍が多数出版されるようになった。しかし、この領域で、英語で読める日本人の著作はまだほとんど見当たらない。従って、God’s Mission in Asia は国際的な宣教学界への貴重な貢献と言えよう。
 とはいえ、本書は日本に関するものではない。20世紀後半の指導的アジア人神学者2名の思想を比較しつつ、戦後アジアのエキュメニカルなキリスト教神学の展開や特徴について解明しようとした書物である。南インドと台湾のキリスト教を比較した一風変わった内容のためか、米国宣教学会の推薦を頂き、American Society of Missiology Monograph Series の第一巻として刊行された。
 Mission in the 21st Century は今年のランベス会議に向けて編まれた論集。アングリカンの近年の宣教理解を示す「宣教の5つの特徴」について考察した世界各地のキリスト者の論文を収録する。私の論文は、日本での経験をもとにポスト啓蒙主義時代のキリスト教宣教における礼拝(リタージー)の重要性を論じている。編者Andrew Wallsは現代英国を代表する宣教学者である。

石井 英真 先生
『学力を育てる教育学』 / 田中耕治編著:井ノ口淳三編著:川地亜弥子〔ほか著〕 (八千代出版 , 2008.4)
請求記号:371/108
配架場所:第1書庫2層
このタイトルを見て、あなたは今どのような内容をイメージしていますか?「学力を育てる」ってあるから、教える内容を増やしましょう、先生は正解を厳しく指導しましょう、反復練習が大事です、なんてことが書かれているのかな。この本には、そうした「学力」に関して多くの人が抱きがちな固定観念を問い直す視点がちりばめられています。たとえば、私の担当した「学力を育てる授業」からは、教える内容は少ない方がよい、知識は詰め込みたくても詰め込めない、知識は使ってこそ定着する、といった視点を読み取っていただけると思います。なぜそういえるのかは、実際に読んで考えてみてください。また、乳幼児の発達、生きる力とリテラシー、学習指導要領の歴史、教育評価、教師の成長、学校づくりといったさまざまな角度から、学力を育てる方法にアプローチしているのもこの本の魅力です。大学生の学力問題と授業での取り組みにもふれています。ぜひご一読を。

『新しい学力テストを読み解く : PISA/TIMSS/全国学力・学習状況調査/教育課程実施状況調査の分析とその課題』 / 田中耕治編著 (日本標準 , 2008.6)
請求記号:375.1/222
配架場所:第1書庫2層
 学力低下が叫ばれ、学力調査に関する話題がマスコミをにぎわせている昨今ですが、何を根拠に学力低下が叫ばれ、なぜ今学力調査が問題となっているのか、あなたは知っていますか?現在進行中の学力向上への動きに大きな影響を与えたのは、さまざまな国際学力調査の結果、特に、2003年に行われたOECD(経済協力開発機構)による国際学力調査(PISA調査)の結果でした。では、PISA調査をはじめとする、国際学力調査は、どのような学力の中身を測ろうとしていて、日本の子どもたちの学力のどのような課題を明らかにしたのか?また、現在日本で実施されている全国学力調査は、国際学力調査の方向性を正しくふまえているといえるのか?この本では、教科ごとにこうした問いに答えるとともに、日本の近未来の姿ともいわれる、英米での学力調査を用いた教育改革の実態と課題についても紹介しています。学力調査や学力問題について考えていく上で必読の書です。