神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「第7回 執筆者は語る」 (2008年5月1日〜2008年5月31日)

今月は、本学専任の先生方が図書館に寄贈くださった図書を展示しています。(2007年6月以降分)
これに合わせて先生方に、ご自分の著作についての紹介をしていただきました。
展示している本は、展示期間が終わる 5月31日より借りることができます。
本の予約はカウンターで受付けています。

田中 まき 教授
「伊勢物語: 絵巻絵本大成(研究篇、資料篇)/ 羽衣国際大学日本文化研究所編」
請求記号:721/219/1〜2  配架場所: 第1書庫3層

平安時代の物語は絵を伴って読まれてきたことが様々な文献から確認できますが、残念ながら、平安時代の絵がそのまま残っていることは稀にしかありません。伊勢物語の場合も平安時代に描かれた絵は現存せず、鎌倉時代の絵巻が部分的に残るばかりで、あとは室町時代以降の絵巻や絵本のいくつかが現存しています。そのような後世の絵巻・絵本であっても、伊勢物語がどのように読み継がれ、享受されてきたかを窺うことができ、極めて貴重です。

そのような現存する伊勢物語絵巻・絵本の中には、今はアメリカやイギリスに渡ってしまっているものもありますが、プロジェクトチームで、それらを調査、研究し、本書はその成果を結実させたものです。資料篇においては、9種類の絵巻・絵本の全容と12種類の絵巻・絵本の一部をオールカラーで紹介し、研究篇においては、それらの概観、書誌、本文、絵などについて解説しました。眺めるだけでも美しく楽しい本になっていますので、一度手に取ってみてください。


郡司 隆男 教授
「日常的推論の論理と言語形式:量化表現、条件文、モーダル表現を中心として/ 郡司隆男(研究代表者)」
請求記号:801/407  配架場所: 第1書庫3層

本書は、日本学術振興会の科学研究費の成果報告書であり、2003年度から2006 年のにわたる、4年間の研究成果をまとめたものである。本研究4年間の間にこ れに関して発表した研究成果として、既発表、未発表の論文を合わせて収録した。

本研究は郡司を研究代表者とし、公立はこだて未来大学、東京大学、名古屋学 院大学、京都大学、大阪大学、大阪樟蔭女子大学、神戸松蔭女子学院大学から の研究分担者、アメリカ、韓国からの研究協力者4名からなる研究組織で、4年 間の研究経費として総額4798万円の補助金を得た。

本研究は、推論に関わる言語形式の研究を通じて、日常言語における推論がど のような形でなされるのかを考察し、論理形式と日常言語との相関関係を探求 することを目的とした。その結果、論理関係の言語的明示化という観点から、 言語を文脈依存型(非明示型)の言語と、言語表現依存型の言語に分類した場 合、従来の日本語の文脈依存性という観点とは異なり、英語は文脈依存型、日 本語は言語表現依存型の言語であることが明らかになった。

一部に完全な成果を挙げるには至らなかった部分も存在するが、おおむね所期 の目的を達することができたと考えられる。


一丸 藤太郎 教授
「思春期臨床の考え方・すすめ方/鍋田恭孝[篇]」
請求記号:493.7/453  配架場所: 第1書庫2層

思春期の解離性同一性障害のクライエントは、成人の場合とはその臨床像、発症要因、心理療法の進め方などいくつかの点で異なっており、特別な配慮が必要なこともよくある。

臨床像としては、症状が成人ほどにはまだ結晶化しておらず、交代人格も不明瞭であったり、その数も少なかったりする。発症要因としては、北アメリカでの肉親からの性的・身体的虐待の多さに対して、わが国ではそのような家庭内での虐待は稀である。発症要因としては、家庭外での見知らぬ他人、上級生などからの性的外傷、あるいはそのような明白な心的外傷が認められないこともよくある。

心理療法の進め方としては、成人のそれとは違い、家庭環境の調整や両親へのアドヴァイスが役に立つことがしばしばあり、心的外傷の取り扱いも、正面から直面して解消しようとするよりも、むしろパーソナリティ全体の成長を援助するようなアプローチが有益であろう。


寺井 さち子 准教授
「子どもを育む心理学/小林芳郎[編著]」
請求記号:371.4/335   配架場所: 第1書庫2層

子どもを育てることが難しい時代になってきました。先日もJRのホームから乗客を突き落とした青年の父親が「自分は一生懸命子どもを育ててきた積りだったけれど、それが間違っていたのです。なんてお詫びをしたら良いのか・・・」と泣いておられましたね。そんな話を聞くと、ますます少子化に拍車がかかるのではないかと危惧しますが、決して悲観的になることはありません。子どもって本当に面白いし、子育てもかけがえのない素晴らしい事業です。

ただ、人間の発達にはそれなりの道があります。人間の子どもも動物の子どもも発達の道筋に沿って着実に育っていくのです。ではその道筋とはどんなものでしょう?

この教科書は、多くの先生方の努力の結晶で、最近の発達心理のエキスが詰まっています。少し難しい面もありますが、興味のあるところだけ拾い読みしても面白いのではないでしょうか。是非手にとってみて下さい。


古川 典代 准教授
「中国語で歌おう:日本の心の歌編 /古川典代・李広宏著」
請求記号:827/43  配架場所: 第1書庫3層

本書は『中国語で歌おう!』シリーズ第三弾です。これまでのように中国の流行歌を中国語で歌うというコンセプトとは180度方向転換しました。今回は日本で歌い継がれてきた懐かしい名曲を中国語に翻訳して歌う、という発信型の編集をしています。

懐かしいメロディが郷愁を誘うのか、ご年配の方々に好評であったり、大学で日本語を学ぶ中国人学生と日本で中国語を学ぶ日本人学生が、日本語と中国語の両言語で歌い交流することができるなどと、発売以来人気を博しています。

歌には国境はありません。やわらかなメロディ、素敵な歌詞は、誰もの心に届き共鳴するものです。流行曲とは趣を異にし、ゆったりとしたメロディで歌いやすいのが特徴です。外国語学習と歌を絡めた学習シリーズで、あなたもぜひ一曲中国語で歌ってみませんか?


和田 浩一 准教授
「ポケット版 オリンピック事典/日本オリンピック・アカデミー篇」
請求記号:780.6/48  配架場所: 第1書庫3層

これは、大学生・社会人がオリンピックの全体像を容易に理解できるようにと願って編まれた新書です。私はクーベルタン研究者ということもあり、前作に引き続き「近代オリンピックの創始者クーベルタン」を担当しました。
 これに加え、今回は「日本とオリンピックとのかかわり」も執筆しています。たったの2ページしかありませんが、ここには在外研修(フランス:ストラスブール大学)期間中にまとめた論文(=最新の研究成果)のエキスが詰まっています。
 手軽な本なので、出典をいちいち記すようなことはしていませんが、実は3カ国を跨(また)いで見つけた史料たちがその文章の根拠になっています。見つけた場所は東京の外務省外交史料館、ローザンヌのIOC史料館、パリのフランス国立古文書館です。
 北京オリンピックの前に読んでもらえるとうれしいです。

ピーター・マレット 准教授/山内 啓子 講師
「From word to letter: 単語から始める英文ライティング/Peter Mallett, Keiko Yamauchi」
請求記号:836/127  配架場所: 第1書庫3層

ピーター・マレット先生
From Word to Letter is a composition textbook aimed at intermediate level university students.
The book begins with the basic unit of composition - the word - looking at different sorts of words and usage. These units are built into clauses, sentences, paragraphs and, finally, letters - personal and business. At the same time, the book teaches students how to write about themselves and their hobbies, tell a story and use different types of language for formal and informal situations.
Each chapter gives guided exercises for particular problems of written English often encountered by Japanese students and ends with a Free Writing exercise in which they can express their own ideas on a given topic.

山内 啓子先生
この本は大学生用のライティングのテキストです。 文章を書くときの最小のユニットである単語wordを ライティングの基本と捉え、その単語を彩り、膨らませてsentence, paragraphへと進化させ、最終的にはフォーマルな手紙letterも完成させることができるように、段階を経て分かりやすく書かれています。
 日本人の学生は和文英訳ならばできるが、自分の持つ英語能力を主体的に応用するのは不得意、ということが多いのです。身近な話題や人々を題材にすることで、楽しく親近感を持ちながら、言葉を織り上げて自己表現を完成させて欲しいと願っています。