神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示


 (2008年2月1日〜2008年2月29日)


引き続き、今回も 子(ね)年 にちなんで

  ”子どもの本は鼠にはじまった”といわれるほど、かわいい鼠を擬人化した室町時代の草子、絵巻物から江戸時代の赤本・黒本・青本にたえず同趣同題の絵本が刊行されつづけました。
「鼠の嫁入り」と題された本を集めるだけで、絵本の歴史をみることになります。
ついちょっと前まで、私たちの家の天井裏を走り回っていた鼠はそれだけ、私たちにはなじみ深い動物ということでしょうか。

鼠の嫁入り
鼠の夫婦がその娘に天下一の婿を取ろうとして、太陽がこの世で一番だと思い申し出ると、太陽は、雲に出合うと照らせないから雲が良いと言う。
そこで雲に申し出ると、雲は風に吹かれるから風が良いと言う。だが風は壁に遭えば無力だと言う。
そこで壁に頼むと鼠に穴を掘られて適わないと言ったので、結局同じ仲間の鼠を選んだという。
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擬人化した鼠による婚礼は、室町時代からの伝統もあり、身近な小動物である上に 甲子(きのえね)に因んで物事の初めとしてめでたく、殊に白鼠は福神大黒天の使わしめであること、多産が繁栄に通じたことなどによるといわれる。

鼠のよめ入り
擬人化した鼠による婚礼次第の絵解き。
18世紀の前半の成立。西村重信筆。
草双紙の一種、赤本とよばれるもので、子供や女性のための本という建前で、出版されています。
赤本の名は、表紙が赤かったことによるものです。
当時、赤色は子供の健康とも関わりの深い色と考えられていました。

『近世子どもの絵本集:江戸篇』より (G/848/1)

鼠の嫁入
昔話の鼠の嫁入とほぼ同じ話。
高木敏雄『世界動物譚話 新イソツプ物語』
          (宝文館 明治5.3.21)掲載。
明治四十五年三月付の編者識「序」に
「世界各地の動物譚を探し集めて、焼直して、新伊蘇普物語と銘打つて、
去年の一月から読売新聞に連載したもの」とある。 黒崎修斎挿画。
高木敏雄は伝説研究等でも有名。

福鼠新嫁入雛形 / 鼠のこん礼 

鼠の草子 / 千秋楽鼠之娵入

ねずみのよめいり

鼠の嫁入り


(図書館)