神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示


「環境破壊」という言葉を世界にひろめた海洋生物学者
レイチェル・カーソン生誕100周年
 (2007年5月1日〜5月30日)

2007年は、環境保護運動のバイブル「沈黙の春」を書いた レイチェル・カーソンが生まれてちょうど100年目にあたります。
それにちなんで当館所蔵のカーソンに関する資料を展示しています。

レイチェル・カーソン
1907年アメリカのペンシルベニア生まれ。文学と自然が大好きな、もの静かな少女でした。
1932年にジョンズ・ホプキンス大学で生物学の修士号を取得。その後、研究を続けるが経済上の理由で博士号取得を断念。
1936年に公務員試験に最高点で合格。
アメリカ漁業局の史上二番目の女性水産生物専門官となり勤務。
前年に亡くなった父親にかわって家計を支え、更に亡くなった姉の二人の娘たちをひきとり、母親とともに面倒をみます。
1957年に出した「われらをめぐる海」がベストセラーになり、作家として独立。 自然や生き物のすばらしさを一般の人にもわかりやすく紹介する本や記事を書き続けました。
その詩情豊かな文章でつづられる作品は、科学的な内容を述べているにもかかわらず、まるで美しい文学のようだと賞賛されています。
1962年に4年間の綿密な調査の後『沈黙の春』を出版。
1964年にガンのため56歳で死亡。

[展示資料]

「沈黙の春」(519/285)
1960年頃には、農薬などの殺虫剤は虫だけを殺す もので、自然や人間の健康を破壊する原因になるとは 一般には考えられていませんでした。農薬は使えば使うほど良いとされていたため、 何年にもわたって大量の化学薬品が農地や水辺や野原にまかれていたのです。
その汚染の実態と危険性を知らせるために、カーソンはガンと闘いながら執筆を続け、『沈黙の春』を出版しました。その内容は大反響をよび、危機感をもった製薬会社がカーソン非難の反撃に出るなど、一大論争をまきおこします。 そして1963年にアメリカ政府はDDT(農薬)の有害性を認め使用を禁止しました。

“私たちの住んでいる地球は人間だけのものではない”(本文より)
 
『沈黙の春』は、自然がいかにもろく、人の手で簡単に壊せるものであるのかを広く 一般に認識させました。そして「地球規模で環境を考える」という新しい発想を世界中の人々に持たせることで“歴史を変えた一冊”なのです。

カーソンの遺作「センス・オブ・ワンダー」
468/61  第1書庫2層 : 和漢書    468/99  第1書庫2層 : 和漢書
レイチェルは、彼女自身は生涯独身でしたが、50歳のときに、病死した姪の息子ロジャー(当時5歳)を引き取ることになります。
 その暮しの中で彼女は、子どもが自然の深遠な世界を敏感にとらえる、優れた感覚を持っていることを実感します。それは、少女の頃にレイチェルを取り巻いていた世界でもありました。
子どもの頃には皆持っているのに、大人になると忘れてしまうこの感受性を、彼女は『センス・オブ・ワンダー』(自然の驚異を感じとる感性)と名づけ、同名のエッセイを残しています。
 この作品は、1956年頃に雑誌に掲載された文章を、カーソンの死後、友人たちが本の形にして出版したものです。

「われらをめぐる海」の原書 ペーパーバック版
“The Sea around Us” (1950) 908/23/14  第2書庫3層 : 洋書

カーソンの生涯を豊富な写真とともに紹介 「アメリカの偉大な女性」シリーズの中の1冊
“Rachel Carson : Biologist & Author”(1988) 367.25/1/12  第2書庫2層 : 洋書

「沈黙の春」の原書 ペーパーバック版
“Silent Spring” (1962) 080/19/84  第2書庫2層 : 洋書

「沈黙の春」が最初に日本語に翻訳されたときのタイトルです
“生と死の妙薬 : 自然均衡の破壊者「化学薬品」/青木簗一訳”(1964) 574/1  第1書庫3層 : 和漢書

とても読みやすいカーソンの伝記。オススメです
“レイチェル・カーソン:沈黙の春をこえて/C.カドリンスキー著”(1989) 402.8/23 第1書庫2層 : 和漢書

かなり詳しいカーソンの伝記
“レイチェル・カーソン/ポール・ブルックス著”(1992) 460.28/6 第1書庫2層 : 和漢書



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