神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

「自著を語る No.2」 (2005年5月1日〜2005年5月31日)

本学専任教員の出版物については、学報に年2回掲載しています。 その中から本学図書館にご寄贈いただきました図書を展示いたします。 「自著を語る」と題しまして、先生方にご自分の著書を紹介していただきました。 興味を持った図書を読んで、著者の先生に感想を述べたり、疑問をぶつけてみてはどうでしょうか。




『レクチャー心理臨床入門』  一丸藤太郎, 栗原和彦 編   河合隼雄 [ほか] 著
創元社 2005年1月

 日本心理臨床学会の教育・研修委員会では、全国の大学院生と大学院を卒業したばかりの若い心理臨床家を対象として、大学院の枠を越えて臨床心理学の基礎を学ぶことを目的として「大学院生心理臨床研究集会」を、これまで約10年にわたって開催してきた。本書は、それらの研究集会での講演の中から臨床心理学を学ぶ初心者にとって特に役に立つであろうと思われるレクチャーを選び、編集したものである。入門書ではあるが、わが国の第一級の心理臨床家による質の高い、心理臨床の基礎についての懇切丁寧なレクチャーであり、学びの場を越えて共有できる貴重な知の結集である。

人間科学部 心理学科 一丸 藤太郎 教授




『はじめて学ぶフランス : 関西学院大学講義「総合コース・フランス研究」より』
関谷一彦, 細見和志, 山上浩嗣 編著
関西学院大学出版会 2004年10月

 本書は、現代のフランスの姿を、社会、思想、芸術、生活の四つの切り口から捉えたものです。取り上げられているテーマは多岐に渡り、文学、芸術は言うに及ばず(第V部「芸術」)、フランス政治の歴史、現代の教育システムとその現状、さらにはフランスの法律と日本の法体系の違いにまで、話は及んでいます(第T部「社会」)。もちろん、ワイン、料理の話も忘れられてはいません(第W部「生活」)。
どの章でも、専門的な知識や用語には平易な解説が試みられており、やさしく、そして楽しく読めるように工夫が凝らされています。また、第U部(「思想」)の最後には、30年来パリのオルセー美術館に勤める日本人女性の一文が収められていて、フランスで専門職を見つけたい人には、格好の情報源となることでしょう。私は、第V部でフランス映画の歴史と60年代のヌーヴェル・ヴァーグの運動について書いています。フランスとその文化に興味がある方は、ぜひ一度手に取って見て下さい。

文学部 打田 素之 助教授


『犯罪被害者遺族の心理と支援に関する研究』  大和田攝子 著

風間書房 2003年11月

 凶悪な事件や事故で家族を失うという出来事は、遺族にとっては極めてトラウマティックな体験です。近年、犯罪被害者の問題がマスメディアで頻繁に取り上げられるようになり、社会の多くの人々が被害者の人権や心の傷に関心を向けるようになりました。しかし、このような社会的関心の高さとは裏腹に、被害者遺族の心の問題に対する理解は必ずしも進んだとは言えないのが現状です。深刻な被害を受けた遺族は、事件後どのような苦痛を経験し、またどのような支援が必要なのでしょうか。本書は、犯罪で子どもを亡くした遺族に対して実施された一連の調査結果から、支援に役立つ有益な指針を提供した初の実証的研究です。データのほとんどは統計処理を行っていますので、ぱっと見たところ難解な印象を受けるかもしれませんが、被害者支援や遺族ケアに関心のある方は是非一度読んでみて下さい。
なお、本書は2005年1月に菊田クリミノロジー奨励賞を受賞しました。
人間科学部 心理学科 大和田 攝子 専任講師




『「好き」と「嫌い」を心理学してみました : この不思議な気持ち!』
土肥伊都子 著
こう書房 2004年10月

 この本は、私が大学で心理学の授業をする中で、最も学生ウケする講義の一つ、「対人魅力」に関連した内容を、一般の読者向けに書いたものです。
恋愛に理屈などあるわけないとお考えの方も多いでしょう。しかし、「二人だけ」の恋愛に酔いしれても、実は心理学的に見れば、見事に「誰にでも」当てはまる一般的な理屈に従っています。「人間は見かけじゃないよ、中身だよ」といいますが、人は見かけから中身をイメージして好き嫌いを決めていますし、「私たち夫婦は運命の赤い糸で結ばれて結婚した」と思いたいところですが、それはお互いのニーズがタイミングよくマッチしただけなのです。
 このところ、人間関係が不得手で、それを避けるかのように他人への無関心、無感動を決め込んでいる人たちが多いような気がして、「損しているなあ」と常々感じています。この世に人間ほどおもしろいものは、他にないのに。人間関係に積極的になるために、人に好かれるための努力を始めるために、いい恋愛をするために、この本は、ちょっぴり皆さんのお役に立つはずです。

人間科学部 心理学科 土肥 伊都子 助教授




『生化学実験』  田代操 編著

化学同人 2004年9月

 長年実験科目を担当していて、自分が教えたい内容にぴったりの実験用教科書はなかなかありませんでした。たまたま管理栄養士養成課程の新カリキュラムに合わせて自分達が使いやすい実験書を作ろうと言う先生方のお誘いを受けました。教科書を書いた経験がなかったので少し躊躇しましたが、仲間に入れていただきました。これまで担当してきた基礎科学実験や食品学実験、生化学実験で創意工夫と試行錯誤を繰り返して、自信のある分野・項目に限って分担執筆をしました。この「生化学実験書」は新カリキュラムの「人体の構造と機能」を理解するうえで大いに役立つように構成されています。さらに基本実験編が充実していますので「食べ物と健康」分野など他の分野での利用も可能であり、価格も2000円と適正な価格です。内容も単なる実験操作を示すだけでなく、理論を分かりやすく説明し、授業時間なども考慮した基礎から応用まで幅広い実験が記載されています。私もこの4月から神戸松蔭の生活学科食物栄養専攻で自分の書いた実験書を使って授業をするつもりでしたが、その科目を担当しないことになり、とても残念です。
人間科学部 生活学科 馬場 恒子 教授





『土竜のひとり言』  松平陽子 著

澪標 2004年12月

 
書くということ

コトバによって自分を表現することは、究極、品がない、と考える友達がいます。
確かにそうかもしれません。例えば、わたしの場合、拙い―これがまた問題なのです―エッセィに表れている自分は、どう見ても、カッコよくない。それを、なぜ、わざわざ皆さんに知ってもらおうとするのか。
自分でも、不思議です。
ただ、一つ言えるのは、書くことは嫌ではない、ということ。その時は、我を忘れて、わりあい一生懸命にやります。そして、その感じは悪くありません。

神戸のタウン情報誌に毎月一度、十年と六ヶ月書いたものから、最近のエッセィを集めました。

文学部 英語英米文学科  松平 陽子 教授




『蟹場まで : 詩集』  安水稔和 著

編集工房ノア 2004年10月


 安水 稔和 元本学教授