神戸松蔭女子学院大学図書館 今月の展示

住文化の巨匠 ― 西山夘三 ―
 (2005年1月6日〜1月31日)

 西山夘三(1911〜1994)は、戦前・戦後から近年まで、すまい・まちづくりの研究・教育あるいは実践などの分野で大きな足跡を残した“住文化の巨匠”といえましょう。
 ここに展示する、「住み方の記」と「日本のすまいT、U、V」は西山夘三の厖大な単行本著作の中のごく一部ですが、西山夘三の住まいへの科学的情熱や文化論的まなざしが読み取れます。「住み方の記」は、“日本エッセイストクラブ賞”を受賞し、NHKの連続ドラマ「ケンチとすみれ」(1967年10月から1年間放映)の原作でもありますが、軽妙な挿絵もふんだんにあり気軽に読めます。一方の「日本のすまいT、U、V」は、戦前から現在までの日本全国で集めたあらゆるタイプの住まいを克明に採取・記録し分析・分類した労大作でライフワークと言っていいでしょう。
 また、西山夘三は単に研究・教育者だけでなく、建築家、漫画家、画家、写真家などの顔を持ち、その残した著作・報告書や資料などの幅の広さと量の多さあるいは緻密さなどから、すまい・まちづくり界の“南方熊楠”とも呼ばれています。これらの業績全容は、現在、奈良市の平城ニュータウン・積水ハウス総合住宅研究所内の「非営利法人西山夘三記念すまい・まちづくり文庫」(西山文庫)に収納・展示・開示され、住宅や都市計画あるいは建築関連だけでなく社会学・文学・教育学などの研究者・学生が全国各地から文庫を訪れています。
 皆さんも一度覗いてみたらいかがでしょうか、きっと何か得るものがあるでしょう。

展示図書
「私家版 住み方の記」 西山夘三 ,1965
「西山夘三とその時代」西山夘三記念すまい・まちづくり文庫 ,2000
「日本のすまいT・U・V」西山夘三 勁草書房 ,1978-1980

(生活造形学科 増永理彦 教授)