図書館サポーター活動報告
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平成20年9月18日(木)〜9月19日(金)に開催された全国図書館大会で学生ボランティアの募集があり、神戸松蔭女子学院大学の図書館サポーターから4名が参加してきました。 会場 ・第一日目 神戸ポートピアホテル(神戸ポートピアホール) 〒650-0046 神戸市中央区港島中町6-10-1 ・第二日目 神戸学院大学ポートアイランドキャンパス 〒650-8586 神戸市中央区港島1-1-3 兵庫医療大学 〒650-8530 神戸市中央区港島1丁目3番6
大会テーマ:「はばたこう 未来の図書館へ 〜元気な兵庫からの発信〜」 ボランティア活動に参加してくださった学生さんにレポートを書いていただきました。 ●ボランティア活動 第一日目は、案内係お揃いの黄色い帽子をかぶって道案内を行った。前回の東京大会では「声かけがな かった」というクレームがあったようで、今回のテーマ「元気な兵庫からの発信」とかけて、会場に向かう参加者へ元気な声でのあいさつをするようにとの指示がされた。 ●池内 紀先生の記念講演 午後から池内 紀氏の記念講演が行われた。池内氏は1940年兵庫県姫路市生まれのドイツ文学者。主な訳書に『カフカ小説全集』(日本翻訳文化賞)、『ファウスト』(毎日出版文化賞)、著書に、『ゲーテさんこんばんは』(桑原武夫賞)、『海山のあいだ』(講談社エッセイ賞)、『二列目の人生 隠れた異才たち』などがある。 幼いころ、どのようにして物語の世界と出会い、その世界を楽しんだかを話された。その中で、ご自分が漫画『のらくろ』・小説『姿三四郎』の世代ということ、土蔵にしまってあった本やラジオ小説、貸本屋がとても好きだったこと、そういう世界に親しんでいたある日、町の図書館を教えてもらったことを語られた。 図書館では無料で好きなだけ本を読むことができると知ったときの池内少年の驚きと喜びが、二階席の端の私まで伝わってきたことがとても印象的で、楽しいひと時を味わえた。 ラジオで小説の朗読を聴いてイメージを膨らませることの素晴らしさも心に残った。 [二日目] ●ボランティア活動 第二日目は、弁当配布係。8:00〜9:00は展示室の展示手伝い。各出版社から送られてきている図書目録を展示した。 分科会開始から弁当配布の時間までと、14:00〜16:00が自由時間だった。各自、興味のある分科会に参加したり、神戸学院大学ポートアイランドキャンパスの図書館見学をした。 ●参加した分科会 ・第2分科会 大学・短大・高専図書館『学術情報の発信とさらなる活用をめざして』 図書の電子化についての講演に参加。電子情報資源の量的増大に伴い、世界中で図書のデータ化が進んでい る。ミシガン大学では週に推定1万冊がデータ化されているらしい。データ化の問題点として、検索可能性、 著作権、品質、スキャン機能などがあげられる。 日本でも、国立国会図書館でデータベース化が進められている。「近代デジタルライブラリー」では国立国会 図書館所蔵の明治期・大正期刊行図書を平成19年7月現在、約143,000冊を収録した画像データベース。収録 されている資料は、児童図書と欧文図書を除いたもののうち、著作権保護期間が満了したもの、著作権者の許 諾を得たもの及び文化庁長官の裁定を受けたもの。 ・第3分科会 シンポジウム『学校図書館の新しい可能性』 20世紀後半の目覚ましい日本の経済成長は、系統主義リテラシーの成果であることは間違いないが、それは、欧米諸国に追いつき追い越せの時代に適した教育法だった。 そして、現在の日本は、他に先んじた創造性を求められる立場に立っている。 そのことを知る文部科学省は、学力低下の批判の嵐にゆとり教育の見直しを迫られていても、生きる力をさらにつけさせたいという方針は持ち続けている。そのような状況の中で、教育課程の変化に合わせた学校図書館の整備が求められている。 しかし、上記の方針を実現させるために重要な学校図書館を取り巻く状況は、教員養成課程に学校図書館経営の授業がない!ということに端的に表れている。このあたりが、文部科学省の取り組みは中途半端であるといわざるを得ない。現状は、学校図書館の重要性に気づいた先生個人の努力で活性化されている。しかし、個人的な努力には限界がある。 個人を孤軍奮闘に追い込むことなく活性化させるには、学校長のリーダー・シップが不可欠である。学校図書館担当教職員の意欲と校長のリーダー・シップが一つになった時、新たな学校図書館文化が生ませるといえようと締めくくられた。 その個人の奮闘がどのようなものかは、加古川市立神野小学校教諭 塚本美智子先生の報告によって明らかになった。超人的だと思った。でも、本当に活性化した学校図書館がどのようなものか教えていただいた。 ・第4分科会 児童・青少年サービス 子どもの豊かな読書を育むために −「子どもの読書活動推進計画」をどう活かすか− 1冊の本が紹介され、児童図書館員についてお話されていた。 ・第12分科会 多文化サービス 多文化サービスのこれまで、これから Part2 事例発表B 『私がかかわってきた在日中国人子女教育』 発表者 梁 佳惠(神戸中華同文学校講師) 華僑第5世の立場から、これからますます増えていく日本国内での多文化交流で大切なことは何かを提示した事例発表だった。 国際理解と日本語教育の指導の両方が不可欠で、相互理解の場になってこそ、本当の多文化サービスといえる。このことを自ら実践した事例のうち、小学校の総合的な学習の時間に中国語で算数と国語の授業を行う話が一番心に残った。 小学校の国語の授業では、中国語での授業は、日本語の授業ではいつもお人形のようにじっと耐えていた中国の子どもたちが、目を輝かせて手を挙げて中国語で答える。中国語の授業は解らないから止めてくれと言いだす日本人の子供が出てくる。途中で中国語から日本語に切り替えるとクラスの雰囲気が落ち着いてくる。そこで、子どもたちは、いつも言葉が解らないでだまっていた子の気持ちを学ぶ。 私は、このような授業を受けた子どもたちがお互いの文化に興味を持って、図書館で調べ学習をしたり、物語を読んで楽しんだりしやすい図書館は、どうあるべきなのか。学校図書館と公立図書館がもっと連携して、相互理解の場になっていくとよいなと思った。 ・兵庫県外国人学校協議会 ・日本で生活する外国人の教育の重要性 ・新しいDVDのラベル、いわき市立中央図書館の取り組み。従来に比べてのはがれにくいいラベル。 ・外国人にとっていかに使いやすい図書館にするか ●神戸学院大学ポートアイランドキャンパス図書館 見学 ・蔵書数19万8000冊 ・海の見える図書館であり、環境がよかった ●感想 ・ボランティアの仕事は、立ち仕事ばかりで疲れましたが、それを上回る充実感がありました。 何故かというと、ボランティアをする時間と大会の講演や分科会に参加できる時間が、交互に組み合わされ ており、自分の好きなものに参加できたからです。また、現役の図書館員のお二人と一緒に道案内係になっ たので、図書館の生きた情報をいろいろと教えていただきました。 公立図書館にとって悩みのタネは、クレーム処理と本への落書きや切り取りだそうです。落書きすること 自体許されることではありませんが、さらに落書きの中には、内容が非常識だったため大きなトラブルに発 展したものもあるとおっしゃっていました。 また、切り取りが一番多いのは料理の本ということでした。最近は男性も料理をしますが、公私の区別がつかない女性が多いということなのでしょうか…。 ・明治39年に第1回全国図書館大会が開催され102年の歴史の中、兵庫県では初めての開催となる全国図書 館大会に参加することができ、とても良い経験になりました。道案内をしながら来場者の方々に「おはよう ございます」と声をかけると「今日はよろしくお願いします。」と声をかけ返しててくださる方が多く、自分もスタッフの一人なんだと感じ責任感と喜びを感じました。分科会は難しい内容の会もありましたが、図書 館の国際化についてはもっと前進させなければならないと感じました。 ・二日間とも色々な司書の方のお話をうかがうことが出来ました。今の図書館の現状を少しでも知ることが出来て、貴重な体験でした。 ・2日間、ボランティアとして参加し、とても有意義な時間を過ごすことができました。この2日間は、多くのことを学ぶことができ、とても充実した時間を過ごせ、よかったです。分科会は神戸学院大学と兵庫医療大学で行われ、他大学の教室で話を聞くという貴重な機会に恵まれよかったです。 |